授賞式での挨拶

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 ご紹介いただきましたあけび書房の代表の久保です。
 この度、大変に栄誉ある賞を受賞することになり、まことに光栄なことであり、嬉しく思っています。ありがとうございます。
 受賞理由は、「挑戦的で気骨が感じられる」出版活動とのことです。過分な評価ですが、これを励みにさせていただきたいと思っています。

 まずは、小社の自己紹介をさせていただきます。
 出版分野としましては、社会保障・社会福祉、貧困問題を中心に出版しています。

憲法、平和、そして広島・長崎、戦争の実相の語り継ぎなどの分野も大切にしてきました。
 小社は設立して32年になります。1983年2月1日に設立しました。この日は老人保健法という法律が施行された日ですが、その日を会社設立の日に選びました。なぜその日を設立の日としたのか。いささか青臭い話をいたしますが、ご容赦ください。
 老人保健法は、それまで無料であった老人医療を有料にした法律です。その後、福祉切り捨ての政治が大変な勢いで進行し、そして、今日、

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社会的弱者の自殺や心中、餓死や孤立死などの悲劇が頻発するに至っています。その出発点となった法律が、実は老人保健法です。

「福祉切り捨て=社会的弱者のいのち切り捨て」、その流れに出版活動で抗っていこう、異議を唱えていこう――そのような「青臭い」気持ちを込めて、1983年2月1日にスタートしました。
 今回の評価の対象になった5冊の本のうちの3冊が福祉・貧困分野の本です。嬉しく思っています。

 ところで、今、私は、日本のメディアの状況に対して、大きな危惧を抱いています。
 安倍政権のメディア支配、メディア操作にはすざまじいものがあります。それについては多くを語るまでもないと思いますが、例えば、人事介入によるNHK支配がそうです。朝日新聞問題、従軍慰安婦報道問題、ヘイトスピーチ問題などへの安倍政権の対応がそうですし、社会保障の分野でいえば生活保護バッシングがそうです。
 つまり、デマとごまかしを吹聴し、差別と偏見を煽り立てる。その手法が今、まかり通っています。
 安倍政権のメディア支配とともに問題なのは日本のメディアのありさまだと思っています。
 日本のメディアは安倍政権の片棒を担ぐまでに至ってはいないか、嘘と偏見の吹聴に加担しているのではないか。そもそも、真実の伝搬者であり、権力の監視役というメディアの社会的使命を忘れているのではないのか。出版界も少なからずそういえる状況に至ってはいないか。そう危惧しています。
 小社、メディア問題の出版にも心がけてきました。
 今回、その分野での出版も評価していただいたようです。やはり嬉しく思っています。

 32年前に小社をスタートしたときに「あけび憲章」を定めました。常に自らの出版活動を見つめ、自らに問うための「戒め」として定めたものです。現在は読者の皆さんと共有したいとの思いも込めて、小社ホームページに公開しています。
 あけび憲章の第1条にはこう記しています。
「あけび書房の出版活動は、読者・筆者とともに『今日を生きる勇気と明日への夢を広げる共同事業』である」
そう記しています。全部で14条からなる簡単なものです。
 ちなみに、第5条には、
「私たちは『誰のために、何のために出版するのか』を常に自らに問い続ける」と記しています。当たり前すぎることですが、見失いがちなことだと思っています。
「誰のために、何のために出版するのか」
 そのことを問い続けながら、楽しく出版の道を歩んでいきたいと思っています。
「出版活動はなんて面白いんだろう」と思っています。

 このたびは誠にありがとうございました。簡単ではありますが、素晴らしい賞を授けてくださったことへの御礼の言葉とさせていただきます。
 また、今に至るまで小社を見守り、励ましてくださった皆様方への感謝の言葉にかえさせていただきます。ありがとうございました。

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